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2017年に読んで脳のシナプスが活性化したおすすめ本ベスト5ーッ!

ども!つれづれ”ちるままに”生きたいとしちる@ture_tiru)です。

2017年を振り返ると思わず「ハッ」とさせられるすご本がたくさん出版していたような気がします。

今回は必ずしも2017年に出版された本ではありませんが、2017年に読んで「これはぜひとも勧めたい!」と思った本を中心に紹介します。

2017年に読んだおすすめ本ベスト5

御託はいい!僕が選んだ本はこれだ!

断片的なものの社会学(2015)

お父さん、犬が死んでるよ。

沖縄県南部の古い住宅街。調査対象者の自宅での、夜更けまで続いたインタビューの途中で、庭のほうから息子さんが叫んだ。

冒頭で始まる一文から思わずきゅっと身構えてしまった。調査者とのインタビューは一瞬だけの中断でそのまま終わり、社会学者である岸政彦さんはその後その語り手とは二度とお会いすることがなかったという。

著者が専門とするのは「生活史」という分野です。「歴史的なできごとを体験した当事者個人の生活史の語りをひとりずつ聞き取るスタイルで調査」するもので、『断片的なものの社会学』では冒頭の出来事のように調査の中でも研究論文としてまとまらなかった断片が描かれている。

断片とは言うなれば言うなれば不連続で統一感のないもので、ある種の無意味さを示しているのかもしれない。けれど、僕らの周りにはそうした断片にあふれている。

何気ない一言。何気ない景色。何気ない瞬間。

生きてきた日常の中を個人の歴史として掘り起こすことをなりわいとする岸さんだからこその断片的な物語が17つ収められている。

語りの力は偉大だ。「人の語りを聞くということは、ある人生のなかに入っていくということ。」ができる。

けど、だからこそ「語りを聞く」、という行為は解放と重圧を伴うと僕は思う。人の多様さとちっぽけさを思い知るからだ。

ぜひ、社会学を学ぶ人に限らずおすすめしたい。

ゲンロン0  観光客の哲学(2017)

お次はこちら!著者の東浩紀さんは早稲田大学の研究職を辞め立ち上げた出版社「株式会社ゲンロン」を立ち上げ、東京都五反田にある「ゲンロンカフェ」では対談イベントを数多く行い、その様子をニコ生で中継するなど批評活動を多角的に展開している。

2017年の本であればこちらの「ゲンロン0  観光客の哲学」が僕的ベストでした!日本の論壇にも思想的な影響をまず間違いなく与える本として語り継がれるように思います。

人文学からは批判的に言及されるグローバリズムや欲望の象徴として捉えられる「観光客」を「誤配」や「二層構造」といったことばをキーワードに哲学的土台に引き戻して論じていく様は圧巻の一言。

以下の記事では内容をさらに突っ込んでまとめています。

参考【Part4】思想γ2017―真面目で不真面目な観光客という他者の哲学

後述するように、昨今の「人文学の衰退」が叫ばれる中でこのような書籍に、新しい形での言論空間をゲンロンを通じて作っていってくれていることに勇気を頂きました!

「大学改革」という病  学問の自由・財政基盤・競争主義から検証する(2017)

「大学に行く意味ってあるの?」

「文系の学問ってなんの役に立つの?」

という質問を浴びたら「とりあえずこの本を読んでからまた聞いてくれ!」と言えるなと思うほど、これまで大学が誕生してきた経緯や如何にして社会的な役割を果たしてきたのかがコンパクトに整理されています。

2015年6月に文科省からの国立大学に対する通知をマスメディアがセンセーショナルに取り上げ議論が巻き起こったものを「文系学部廃止論争」と便宜的に僕は呼んでいますが、昨今の大学改革の中で語られる「人文系学問は役に立つ/立たない」言説に嫌気がさす方にもぜひおすすめしたい一冊です。

大学改革の政策は人口減少問題はもちろん、地域創生や社会保障、さらに就職労働問題といった経済社会的なことも大きな背景にあります。

そうした論点を整理することで今後の視座を得られる良著でした。おすすめというか、ホント、興味を持つなら読んでもらいたいし、理知る努力をする人が大学生・大学関係者含めもっと出てくるとうれしいなと思っています。

デジタルウィズダムの時代へ  若者とデジタルメディアのエンゲージメント(2016)

ビッグデータ、人工知能にIoTなど技術進歩の著しいニュースが流れる昨今の中で、元数理科学の出身の研究者である髙橋利江さんが「なぜ若者はメディアと関わるのか?」という問いを出発点に論考をまとめたのがこちら。

デジタルネイティブとされる若者ですが、先行研究をまとめつつ新しく再構築した「デジタルウィズダム」という概念を援用して、世代ではなく「人口、市民、集団」としてデジタル技術を使いこなす若者に迫っていきます。

ネットから派生して生まれたSNSに自撮りを投稿する若者―かくいう僕も抵抗感を持っていたのに2017年から自撮りを上げてしまっています…―が如何にして「ソト」との関わりを持ち、如何ような「ウチ」なる変化を起こしていっているのかを質的に研究されていくわけですが、その理論的な枠組みとして「複雑系のコミュニケーションモデル」に僕はしびれました!

簡単に以下の記事で紹介しています。

参考【Part5】思想γ2017―コミュニケーションから見る教養と視養、そしてあそびの哲学へ

4000円代のハードカバーである専門書ではありますが、難解な叙述もなくクリアに書かれているので非常に読みやすい本だと思います。ネットでつながる若者の生態系を知りたい方にぜひおすすめしたい一冊です。

ジョジョ論(2017)

「勇気」「敬意」「成長」「真実」「覚悟」「軌跡」

ちょっと気色が一冊違う本。いや、だがしかし、ジョジョは立派な思想書だ!

『ジョジョ』シリーズの基本的なスタンスは、次のようなものだ―この世界から強いられた様々な恐怖に立ち向かえ。恐怖を乗り越えていけ。

そう、ジョジョは勇気としての「人間賛歌」をテーマにした本であり、この本ではそんなジョジョの世界を批評家の杉田俊介さんが描く。

「ジャンプ」についても言及されている中でこんな一節がある。

ジャンプカルチャーの中には、グローバルな新自由主義市場の欲望を肯定し、他者との共創や戦いを楽しみながらも、その先端で、資本主義的な欲望を超えていこうとする、過剰な倫理性(超欲望)がはらまれてもきたのだ。

これは先ほどの『ゲンロン0  観光客の哲学』で言及される友敵主義を超えたあり方(観光客の哲学では「’家族’を持て」という話しにつながる)と共通するところがあるのではないかと思う。

「よりよく生きる思想」を学ぶのにうってつけのジョジョの世界を批評的に描写した本著もかなり気に入っています。

おわりに

2017年に読んだおすすめ本!

どれもこれからを考えるために示唆に富む本でした。

実はちゃんと読み切れていないためにあげれなかった本に『中動態の哲学  意志と責任の考古学』というものもあり、こちらも「小林秀雄賞」を取るなど人文学界隈を賑わせたものもあります。

中動態を哲学的に吟味する中で依存に対する新しいケアのあり方を切り開いていくのですが、なかなか難しいです(笑)

あと『母性のディストピア』とか、『敗戦後論』とか、『欲望論』とか、『お金2.0』とか目を通しておきたいなーと。

2018年にはもっと腰を据えて読書に勤しんで基礎体力をもっとつけたいと思います!

では~