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【レビュー】『学問のしくみ事典』―知的好奇心を刺激する?いろんな学問の歴史的なつながりをササッと確認するにはおすすめ!

投稿日:2016年6月10日 更新日:

「学問を体系的に学べるといいな~」と思ってたら見つけました。その名も『あらゆる「学」の歴史とつながりがわかる 学問のしくみ事典』

いろんな分野の勉強を複合的にしていると、考えがとっちらかってしまいがちです。それに、学問となると歴史的な流れの理解も欠かせません。そんな時に大ざっぱでいいから全体的な理解の助けとなる本がこの『学問のしくみ事典』になるでしょう!

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「具体と抽象の行き来」で学問とは何かを考える

ども!勉強をちゃんとし出すと言いたいことが言いづらくなるとしちる@ture_tiru)です。

ここからは自分がなぜこのような事典を必要としているかという個人的な話ですので、飛ばしても結構です!

僕が現在、専門的に勉強しようとしているのは批判的談話分析(Critical Discourse Analysis:CDA)というものです。

この分野は一つの方法論があるというよりは、学際的に、つまりいろんな分野の考え方を援用しながら、CDAが共通して設定する目的である「情報リテラシーの向上」や「権力的に弱者を抑圧しようとする言説に対する批判的な読みを示して社会的不平等を是正しよう」というものです。

最近は卒論、修論、もしかすれば博論というものを書いていく上で学びながら戦略を練っている最中で、一つ大きなテーマとして「文系軽視」を取り上げてみようかなと思っています。

そうした中で、「そもそも文系とは?理系とは何か?」「そもそも学問とは何か?」ということが疑問として浮かび上がります。

ですが、僕の短い人生や限られた締め切りといった時間的な制約、または単純にすべてを理解しきれないという意味で、すべてを知ることはできません。

ならば、どうするか?

僕はここで、「具体と抽象の行き来」をすればいいと考えています。

つまり、限られた個々の具体的な事例(CDAや言語学、社会学に哲学、そして自然科学を基礎づけている数学や物理学 etc.)から、それらに共通して言えるものはなんなのか?ということを探ればいいのではないかという感じです。

監修者である茂木健一郎が語る現代的な教養と知性の磨き方

以上が自分の背景で、ここからが今回の記事の本題!

抽象化させればいいにしたってですが、その勉強量は膨大になってしまいます。やはり、それでも時間的・量的な限界、理解の限界があります。

そんな中で、ふと見つけたのがこの本でした。

監修は茂木健一郎さんになっているのですが、序文を書いて名前を貸した程度のようです。茂木さんはその序文で現代的な教養を4つの観点から言及しています。

  1. 言語能力
  2. 数学
  3. ネットワークに対する知識と感性
  4. 情報リテラシー

です。

他にもあると述べながら、現代的な教養は膨大になっているとしています。そこから、「学問の領域を越える大切さ」「非典型的な知性が価値を生む時代」と題して学問を広く学ぶ意義を述べています。

また、さらに「人間の脳はいくら学んでも終わりはない」「ハードルが少し高いほうが強化される」「自分をバージョンアップする」と題し、知性をどう強化するかについて述べられます。

冒頭の注意点

ですが、そう言いながらも変なことを言っているのには注意したほうがいいかと思います。

このように、現代における「教養」の要素を連ねていくと、膨大になります。そして、いわゆる大学入試の偏差値やペーパーテストで測られるような「知」は無意味であることがわかります。要するに、現代は「総合力」や「人間力」が問われる時代なのです。

ここで無意味と断じてしまうことの方がよっぽど無意味だろうと僕は思います。

確かに、現在の入試制度ではそうした総合的な要素はすべて測れてるわけではありませんが、社会システム的な観点からみて、膨れ上がった学生の受け皿として入試制度が機能していますし、そもそも茂木さんが言うような「人間力」の定義もあいまいで、恣意的な入試制度で落とされてしまうような人が生まれてしまうのも新たな問題として浮上することが目に見えているように思われるからです。

こうしたことをきちんと論証するには、あまりにも稚拙でしょう。それこそ、学問的な仮説・検討をなしながらも批判的に制度を組み立てていくことが肝要だと思えてなりません。

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『学問のしくみ事典』の紹介

前置きが長くなってしまいましたが、簡単にどんな本か紹介したいと思います。

基本データ

編集:日本実業出版社

監修:茂木健一郎

出版:日本実業出版社

発行年:2016年3月20日

目次

プロローグ 学問の仕組み

人文科学

  • 哲学
  • 歴史学
  • 宗教学
  • 言語学
  • 心理学
  • 精神分析学
  • 文化人類学
  • 神話学
  • 民俗学
  • 考古学

社会科学

  • 政治学
  • 経済学
  • 社会学
  • 法学
  • 教育学
  • 統計学
  • 経営学

自然科学

  • 物理学
  • 生物学
  • 化学
  • 数学
  • 医学
  • 工学
  • 情報工学
  • 航空宇宙学
  • 地理学

文化芸術

  • 文学
  • 近代日本文学
  • 建築
  • 近代日本建築
  • 音楽
  • 美術
  • 映画
  • 日本映画
  • 写真
  • 日本写真

内容は西洋的な学問観が中心―ある程度は仕方ないので割り切ろう

目次を見ての通り、大ざっぱに「人文科学」「社会科学」「自然科学」「文化芸術」に各学問を分け、各学問のこれまた大ざっぱではありますが、歴史的な流れや主な研究者や理論の紹介をしてくれます。

系譜図も多く取り入れてくれているので、文章を読みつつ図を参照しながらそれぞれの関係を俯瞰して知ることができます

当然ではありますが、これら一つひとつの記述は薄く、中にはあれが書いていない、これが書いていないというものも多くあるかと思います。しかも、冒頭の学問の起源を読むと分かるのですが、記述は西洋的な学問が中心になっています。

ただ、ここまで多岐にわたっている学問をまとめてくれただけでも助かります。個々の関心に応じて、そうしたつながりを紡ぐ別の書籍をあたればいいことかなと。

もし余力があればもっと多くの研究者を巻き込む形で『学問の仕組み大事典』なんてものができれば最高だな~と思いました。

まとめ

事典って学びにおける一つの道標としてあって初学者にはすごく助かりますよね!

もちろん、学びとは、特に研究をするとなると、事典の先にいくことが重要になってきます。それに、ただ受け入れるだけが学びではないでしょう。結局のところ、批判的な読みをしながら、それぞれの情報と対峙していく必要がありそうです。じゃないと、誰かに支配されてしまうだけになってしまうのではないかなんて大それた危機感を持たなくもないです。

そうした、批判的な読みの提示やその方法などを考えるために今作っているのがこちらの二つのメディアです。

discourseguides.com

share-study.net

 

この本のプロローグでは21世紀における学問はどうあっていくものなのかということが示唆されています。

21世紀は新たな思考の携帯の下で、学問の再編成を図るために、近代の思考そのものを模擬的に乗り越えていかなければならないといえる。

前近代的な理性や論理だけじゃどうしようもなくなった今の学問というか、現代的な問題を超克していくには、おそらくただ俯瞰的になるのではなく、積極的な融合をしていく必要があるんじゃないかと思います。

同時に、今までの学問がただ社会に役立つためにあったわけではないということを認識していく必要があるでしょう。

では~


ブログ管理人
としちる

ミスチルと青い鳥が好き。大学生活前半は冊子制作に打ち込むも紆余曲折あって研究者を目指すことに。夢はアカデミーを作ること。研究の狭き道でも生きていくこととやりたいことを両立させるために、サイト運営やライティング、Webデザインといったメディア系スキル・ビジネスのイロハも学んでる。つれづれ“ちる”ままに、時に激しく主にダラダラがモットー。

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