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英語で味わう名言

【英語で味わう名言 vol.2】「死んでるみたいに生きたくない」

投稿日:2016年1月18日 更新日:

「ただ浮かんでいるだけなら魚でもできる」by サミュエル・スマイルズ

英語で味わう名言シリーズ第2弾!
今回はイギリスの作家であるサミュエル・スマイルズが『Character』にて残した言葉です。
 

「死んでるみたいに生きたくない」

It requires strength and courage to swim against the stream, while any dead fish can float with it.

「流れに逆らって泳ぐには力と勇気が必要である。ただ浮かんで生きるだけなら魚でもできる。」

タイトルにした「死んでるみたいに生きたくない」は伊坂幸太郎『グラスホッパー』に出てくる言葉です。
ジャック・クリスピンという架空の人物が会話の中にだけ出てきて様々な名言じみた言葉を残していくうちの一つで僕が最も気に入っている言葉です。

今回のサミュエル・スマイルズが残した言葉を端的に表現しているなと思って選びました。

言葉の背景を探る

サミュエル・スマイルズ(Samuel Smiles、1812-1902)とは、作家であり、チャーチスト運動(普通選挙権獲得運動)にも参加した活動家です。
しかし、功績として彼の名が語り継がれているのは「Self-Help」(自助論)にて説いた自己啓発的なものが大きかったようです。

ですが、今回の言葉は「Self-Help」ではなく「Character」(向上心)という本にて登場する言葉であり、「Self-Help」の次に出版されたこの本では「『自助論』の内容から一歩進んで個人の成長と人間力の形成に焦点を当て、さらに内容を充実させたもの」だそうです。

つまり、この本はそうした権力対一般市民から一般市民がどう生きるべきかという流れの元に書かれた本であるということですね。

実際、内容も以下のような流れで出てくる言葉でした。

いまや大衆というのも、堕落した権力者に迎合して、さらにはそうしたものが大多数を占めている。そして、その流れに逆らうより、ただ首を垂れ、時に不平を漏らす方が簡単だ。流れに逆らって泳ぐには力と勇気が必要である。ただ浮かんで生きるだけなら魚でもできる。権力に迎合する傾向はますます強くなっており、そうした傾向は社会の危機的な状況を示唆している。

英文ではこのような文脈の元、登場する言葉でした。
ここでサミュエル・スマイルズが強調しているのは、あくまで大衆を成す個々人がそうした権力性に立ち向かっていかねばならないということですね。
彼がチャーチスト運動で普通選挙権を獲得しようとした流れからその先の問題へと進んでいるのが見て取れます。

こちらで全文を読むことができます。

Full text of "Character"

次の英文は、前後の文を抜粋したものです。

Context of this word

It is not the man of the noblest character — the highest-cultured and best-conditioned man — whose favour is now sought, so much as that of the lowest man, the least-cultured and worst-conditioned man, because his vote is usually that of the majority. Even men of rank, wealth, and education are seen prostrating themselves before the ignorant, whose votes are thus to be got. They are ready to be unprincipled and un* just rather than unpopular. It is so much easier for some men to stoop, to bow, and to flatter, than to be manly, resolute, and magnanimous; and to yield to prejudices than run counter to them. It requires strength and courage to swim against the stream, while any dead fish can float with it.

This servile pandering to popularity has been rapidly on the increase of late years, and its tendency has been to lower and degrade the character of public men. Consciences have become more elastic. There is now one opinion for the chamber, and another for the plat-form. Prejudices are pandered to in public, which in private are despised. Pretended conversions — which invariably jump with party interests — are more sudden;should be eccentric. Eccentricity has always abounded when and where strength of character has abounded; and the amount of eccentricity in a society has generally been proportional to the amount of genius, mental vigour, and moral courage which it contained. That 80 few now dare to be eccentric, marks the chief danger of the time.

「自助論」から広まった日本の「自己啓発」

彼の「自助論」は、自己啓発の代表作として、競争社会で勝ち抜き、生き抜くための基本的な考え方として援用されているそうですが、それは抄訳された部分的なもののようです。

確かにチャーチスト運動(普通選挙権獲得運動)に参加し、労働運動も支持したというのであればそうなのかもしれませんね。

と言っても、きちんと彼の本を読んで、その上で歴史的な流れを汲み取っていかないと断言できるものではないので、アバウトにはこういった感じと断っておきます。

ちなみに僕は最近、自己啓発があまり好きではありません。

というよりも自己啓発を一種の商売道具として、己の世界に誘い込むだけ誘いこんで、たとえそれで誰かが上手くいかなくても「自己責任」で俺は知らねぇ、俺は上手くいったんだみたいなのが嫌いです。

サミュエル・スマイルズの「自助論」も相互扶助の関係を切り捨てているわけではないそうで、このように真実とはなんなのか?―何が本当なのかというのは突き詰めれば複雑で難しい問題かもしれませんが―とにかくきちんと「正しい」ことはなんなのかということが大事にされる世の中になっていけばいいと思います。

「頑張る」ことが強要される世の中や、俺には関係ないと他人事でさらには誰かを嘲笑することがさも当たり前かのように繰り広げられる世の中は嫌いです。

「自助論」については日本でどのように翻訳されたのかといったことがこちらの本で書かれているそうです。

ブログ管理人

としちる

日本サッカー協会に入るため筑波大学体育専門学群を目指すも、受験前に父親が逃亡し、やむなく部活を辞める。教材費と受験費を稼ぐためにバイトしながらの宅浪生活を2年間送った後、国際総合学類に入学。タイにて日本語指導と留学も経験。帰国後、「人から始まる学問の見える化」を旗印とした『入門学術メディア Share Study』を創設。運営サイトは4つ、記事執筆数は250以上、イベント運営に携わった数は50以上(17年8月現在)。最近、VALUも動かしてます。

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