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【映画感想・ネタバレ有】メッセージ(原題:Arrival)―未来を知ることは幸福なのか?

投稿日:2017年6月11日 更新日:

2017年5月19日に公開された映画『メッセージ(原題:Arrival)』を観てきました!

もともとの小説のタイトルは『あなたの人生の物語(原題:Story of your Life)』なわけですが、まさに映画を視聴している「あなた」に「人生とはなにか」を問いかけられる内容だと感じました!

『メッセージ』のストーリー概要【ネタバレ有】

突如、飛来した謎の飛行物体(通称、バカウケ)が世界各地の12地点に現れた。「謎の飛行物体はなぜやってきたのか?」「なぜ世界各地に現れたのか?」飛行物体を操る未確認生物、「ヘプタポッド」の目的を探るためにアメリカ政府・軍に呼び出された二人の学者、ルイーズ(言語学者)とイアン(物理学者)は彼らと交流を測ることとなる。

しかし、ヘプタポッドと人類には相見えない要素があることが分かってきた。彼らは人類がいとも簡単に理解している初歩的な数学概念などを理解できない。さらに彼らのコミュニケーションは音声ではなく、さらには明確な文法体系や時制が存在しない表意文字であった。

そうした調査の最中、幻覚のようなものに惑わされるルイーズ。何度も何度も現れる少女と戯れる自分がフラッシュバックする。当初は世界各地に現れたヘプタポッドの研究において協力関係を築いていた人類だったが、彼らがやってきた目的として示した「武器の提供」ということばから、分裂してしまう。高まる危機感に応じるように中国のシェン上将はヘプタポッドに対して攻撃宣言を行ってしまう。

ヘプタポッドが示す武器が人類が考えてしまうような「武器」ではないと考えるルイーズ。彼らの飛行船に導かれるようにして単独で乗り込むこととなったルイーズは、彼らと直接対話を行う中で、自分に起きている幻覚と彼らの言語観が、「未来」を見えるようになるという点で重なっていることに気づいた。

彼らが示した「武器」とは彼らの「言語」だった。彼らは人類が3000年後にヘプタポッドを救うことを予知し、地球にやってきたのだった。ルイーズが手にした未来予知の力を用いて、攻撃を開始しようとするシェン上将に説得を試みる。これまで見てきた、そしてその最中に見た幻覚では、未来において「イアンと結婚し子どもを持つこと」「ユニバーサル言語という書籍を書き上げたこと」「シェン上将とヘプタポッドに関する式典にて出会い、説得をするためのヒントを本人から得ること」「イアンとの間に誕生した娘が病で亡くなってしまうこと」を暗示していたことを悟る。

結果的に、中国軍による攻撃は中止され、ヘプタポッドが乗る飛行船は姿を消していった。イアンから告白されたルイーズはこの先の未来を知りつつも、「今」という瞬間を受け入れていく…

『メッセージ』感想・レビュー(

観終えて思ったことがいくつかあるのですが、率直に映画として僕好みで面白かった(interesting)です

面白かったんですが、もう一歩踏み込んだメッセージ性があると良かったかなぁと思わなくもないので星は4つとしました!まっ、これは完全に好みの問題なんですがね(笑)

『メッセージ』で描かれる「サピア=ウォーフ仮説/言語決定論」

この作品のキーワードとしてあるのが、言語学・人類学・心理学にまたがって展開されている「サピア=ウォーフ仮説/言語決定論」です。

ルイーズはヘプタポッドのことばを解読し対話し、彼らの目的を知るためにも「ヘプタポッド語」を学んでいったわけですが、次第に彼らのことばに影響され「未来予知」という特殊能力を持つに至るのでした。

実際のところ、この言語決定論の考え方は「部分的には影響されるけども、言語によって思考が異なってしまい、異なる言語話者同士の相互理解は不可能とまでは言えない」と言われています。

ですが、SF映画として言語学の考え方に着目してここまでのストーリーを作り上げたのは「うっまいなぁ!」と純粋に思いました。

SFの中にこうしたアカデミックな話題がもっと入り込んでくると現実とのリンクも感じられてより重層的な作品になる気がしましたね

その話題に関して興味も持ちやすくなりますし。

僕が運営している『入門学術メディア Share Study』でも特に最近は「サピア=ウォーフ仮説/言語決定論」に関する記事がよく読まれていてうれしく思っています!

関連記事言語によって思考が決まる?言語相対論/言語相対論/サピア・ウォーフ仮説の違いとその意味

未来を知ることは「幸福」なのか?

作中でキーワードとなるのが「未来予知」ですよね。

鑑賞しながら思い出した作品があります。

『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』というものなのですが、この作品のラスボスである「プッチ神父」は「幸福とは『覚悟』をすることであるッ!真の『覚悟』とはこの先何が起こるか知っていることだッ!」として、そのためには手段を選ばないという人物として描かれました。

『メッセージ』はこの考え方を直接的に支持するようなものではありませんが、未来を知ってしまったルイーズが果たして「幸福」なのかどうかという点に関して、通底するものがあると思うんです。

僕はもし未来が分かるとなったら何するにしても「つまらないな」って思っちゃうと思うんですよ

だって、頑張って勉強したのに大学受験に失敗するだとかもし分かっちゃったら何のために勉強しているのか分からなくなって、やる気も下がるわけじゃないですか!

だから、先のことはどんな結果であろうと知らないでいる方がいいはずです。

「結果」だけに意味を見出すのではなく、「過程」に意味を見出したい!そう思うわけです。

『メッセージ』関連のもの

もともとのタイトルは『あなたの人生の物語』ということで本が出ています。本の内容は物理学者イアン(小説では別名)の活躍によってルイーズがヘプタポッドのことばを紐解くきっかけになったりとやはりいろいろと異なる内容のようで、気になってます。

映画のオリジナルサウンドトラックも出てますね。途中、ヘプタポッドの宇宙船に乗り込む際など「能楽」?っぽいBGMが使われているのが印象的でした。宇宙船がまんま「バカウケ」だなんて話もありますからね(笑)多少、関係しているのかもしれません(適当)

まとめ

さて、最後に一言。

「未来」を知るということは「未来」が変わるということと同義だと思います

もしどうしようもなく避けようがない未来であるならば、知る必要だってないわけですから。

ですから、やっぱり「人」は瞬間瞬間に生きることしかできないと思うわけです。

ですが、ルイーズは未来を知りながらもその道を選択することを決めました。

それも、僕と同じように瞬間瞬間を生きようとして。

ヘプタポッドという未知との遭遇、新しい言語観、ルイーズの変化と選択、こうしたことから鑑賞している者たちにとっての「人生の選択」「幸福のあり方」といったものが問われている作品なのだと思います。

あなたはどんな選択をしますでしょうか?

ではでは~!

ブログ管理人

としちる

日本サッカー協会に入るため筑波大学体育専門学群を目指すも、受験前に父親が逃亡し、やむなく部活を辞める。教材費と受験費を稼ぐためにバイトしながらの宅浪生活を2年間送った後、国際総合学類に入学。タイにて日本語指導と留学も経験。帰国後、「人から始まる学問の見える化」を旗印とした『入門学術メディア Share Study』を創設。運営サイトは4つ、記事執筆数は250以上、イベント運営に携わった数は50以上(17年8月現在)。最近、VALUも動かしてます。

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