【ニューアルバム】Mr.Children『重力と呼吸』ファーストインプレッション―「居場所」と「自己」への回帰

Mr.Childrenニューアルバム『重力と呼吸』ファーストインプレッション

3年4ヶ月ぶりについに発売された19thアルバム『重力と呼吸』。個人的には3年以上もアルバムがなかったんだという気がしません。前回発売された『REFLECTION』で大量の曲が出ていたからでしょうか。間にもちょくちょくと曲は発表されていたからかもしれません。

今回、『重力と呼吸』というアルバム名を聞いたときに真っ先に思ったこと。それは、

としちる

ジョジョじゃん!!!

です。ども、「ミスチルしか聞かないんですか?」「いえ、けっこー他にもたくさん聞きます」と応えるとしちる@ture_tiru)です。

『重力と呼吸』、何周か聞いてみました。まだ、うまくことばにはできないのですが、端的に言って気に入ってます。そんなニューアルバムのファーストインプレッションを少々。

Mr.Children『重力と呼吸』のファーストインプレッション

まず、普通にアルバムジャケットめっちゃ好きです僕は。当ブログ『TIRU LABO』でレインボーを採用しているように、七色が好きなんですが、もっと好きなのが「カオス」な七色。混沌とした、どこかどす黒い、でもその中にある明るさ、といった七色です。ぐちゃぐちゃと絵の具を混ぜたような感じもすごい好きですが、こういった表現は最近、ちょっと流行りなのかAppleとかガジェット系の表現にも使われるようになってますよね。

すでにいろんなレビューが溢れていますが、「若々しい」や「原点回帰」ということが語られていますね。そういった「音楽」としてのミスチルは他の方々の方がずっと詳しく熱があることでしょう。翻って、僕はことばの研究者として、やはり「歌詞」に着目してしまいます。

『重力と呼吸』の歌詞

正直、『重力と呼吸』というタイトルを見た時に、「おっ、これはこの時代の中で棘がある方向性で来るかな?」と思っていたんですが、想像以上に「居場所」を大切にするというメタメッセージが溢れた歌詞が多いなという印象を受けました。

すでに発表されていた一部の楽曲も入っておらず10曲という曲数、つまりコンセプト・アルバムとして作成されているのは明確ですよね。

肝心の歌詞なのですが、正直に言うと「パンチ」が足りない…!と僕は感じました。

「社会風刺」的な要素がかなり削ぎ落とされていて、かといってその他、深く考えさせられるような歌詞にはなっていないという印象です。

この時代の先行きの見えない息苦しさの中、「僕」と「君」という関係性をもっと徹底的に詰めていくことで見えてくる確かな自分としての「あり方」が全体的に表現されているように感じました。アルバムタイトル『重力と呼吸』にあるように、どこか全体を通して『潜水』を聞いているような感覚を持ちます。

けど、良くも悪くも「上からの目線」の鋭いことばの刃はにぶいんですよね…個人的にはコンセプトアルバムとしてのバランスを取っているところはさすがだなと思うし、こう、疲れているときに聞き入るにはとても良い作品だなと思いますし、変な違和感もなく、普通に好きなアルバムです。

けど、90年代後半から00年代前半に鋭く光り、読み込むほど歌詞に深く考えさせられるような、そういう類のものが好きな僕にとっては物足りない…!もっと鋭くこの時代に切り込む歌もまだまだ作れると思うんですよね…

全曲歌詞集『Your Song』

僕が歌詞を書くのは、誰かにとっての「歌」になりたいから。
カラオケでもいい。鼻歌でもいい。声に出さずに心の中で囁くだけの歌でもいい。
誰かにとっれの傘であり、太陽光発電であり、荒波を漕いでいくオールであり、共に旅するスニーカーであり、オアシスであり、砂漠であり、マシンガンであり、防弾チョッキであり、、、、まぁ、なんであってもいい、あなたが主役の、あなたの「歌」になりたい。
どんな人生も、どんな命も、どんな出来事も素晴らしいのだと、その「歌」を歌っている間は思えるような、そんな歌になりたい。

『Your Song』の冒頭で桜井さんからのメッセージがあるのですが、その最後ではこのように綴られていました。

「歌詞とは」といってもわからなくなる、けど歌なら分かる!ということで、歌詞の話から歌の話になっているのですが、ちょこっと桜井さんのことばを追いかけていると、2010年代はどんどん「音楽」としての「歌」というか、「音」へのこだわりが強くなっているのだなと感じています。

それがこの『Your Song』にも現れているようですが、それが『重力と呼吸』での「サウンド」へのこだわりとして出ているようにも思えました。

けど、桜井さんの強みって単純な「音」だけではなくて、「ことば」として匠に表現するところでそのバランスがすごいと思うんですよね。やっぱり、圧倒的な「音」だけでなく、圧倒的な「ことば」としてもまだまだ表現の高みを目指してほしい。

少なくとも、中学生のころから聞き始めた僕にとってのミスチルは「ことば」からはじまりました。『重力と呼吸』を歌詞とにらめっこしながら聞き終わったとき、思わず僕は『シフクノオト』の『掌』だとか、『Any』を読んじゃったんですよね。

そうだ、このどこか「上から目線」で冷めた調子なんだけど、どこまでも日常から彼岸へと視野が開かれていくような、そんな「ことば」を僕はもっと味わいたいんだ。そう思ったんです。

おわりに

なんだかんだ思うがままにファーストインプレッションを書いてきましたが、基本的には今回のアルバムも全然好きです!ツイートしたように、「自己」へと回帰していくような不思議な感覚を得るアルバムで、あくせくとしているときに、ふっと深呼吸をしたくなるような、それでいて確固たるまなざしを持てるような、そんなパワーを放っています。

が、もっと僕はマシンガンを浴びたいし、ときにドロップキックをかましたいし、どこかにいるシーラカンスを思って叫びたいんですよね…

次回作、まだまだ期待しています!