ついに物語の革新の問題へと移ったな。
それが東京喰種:reの10巻を読んでまず思ったことです。
「人間と喰種の共存」、いったいどのように達成しようと言うのか?
どうやって物語は結末へと向かうのか?
悲劇要素は薄くなって、カネキが悟ってしまいましたがそれでも気になる続き…
東京喰種:re 10巻のあらすじ
「ヒトと“喰種”は分かり合える」 先代の“隻眼の王”の意思を継ぎ、記憶を取り戻したカネキは、『喫茶:re』に身を寄せることに。懐かしい珈琲の味と香りに包まれたそこは、かつての仲間たちと、“王”を囲う“喰種”たちで満ちていた。―自分が“ここ”にいる意味。ヒトと理解し合える世を目指し、「黒山羊」を組閣したカネキは、〔CCG〕との対話を求め始める。世界という“殻”を破壊するために――。
東京喰種:re 10巻の感想
原点回帰:人と喰種の共存を目指すカネキ
冒頭、ついにカネキが「喫茶:re」に身を寄せ、トーカを始めとした「あんていく」メンバーと再会を果たしたのは素直にうれしい展開。
トーカちゃんがカネキをぶん殴って「あー、スッキリした!(ニコッ」とするのも、トーカらしく懐かしき空気感。
そして、ついにカネキが亜門と対峙した際に至った思いである「人と喰種の共存」がここにきてピックアップされてきました!
【喰種】の僕だけだ・・・・”人間”の僕だけだ・・・・両方の気持ちがわかるのは———!!!
金木研(東京喰種3巻)
僕は先代の隻眼の王の遺志を継ぎ、”喰種”とヒトが理解し合える世界をつくります
金木研(東京喰種:re10巻)
いやー、長かったですね!ここまで。本当に。
大切な人を守るために戦い続け、終いには記憶までなくし、記憶を取り戻しても死ぬつもりで再び仲間を助けようとしたカネキ。
そして、行き着いた答えが「人と喰種の共存」というのは、しっかりとぶれないキャラとして描かれていると思いますし、散々悲劇に苛まされてきたカネキの思いがどのような結末を迎えるのか、一読者として気になります。
東京喰種:reはどこへ向かう?
『東京喰種』の根幹をなすのがこのテーマだと思うのですが、やはり『東京喰種』の魅力は金木研という人間の悲劇っぷりだったなとも思うんですよね。
ここまで散々と翻弄されながら、記憶をなくしてもなんとか記憶を取り戻す糸口を探そうともがき苦しんできたカネキの姿はもうありません。
形はどうであれ最強捜査官である「有馬貴将」を破り、事実上最強の喰種である「隻眼の王」として新組織「黒山羊(ゴート)」を立ち上げ行動を開始していくのが10巻なわけですが、どこかサッパリとしたカネキとなっていて、悲劇に悩み苦しむカネキの苦悩が描かれていた今までとは変わってしまったなと。
それに、展開は相変わらず早いのですが、登場人物の心理描写や目的が今までより丁寧に描かれていないような気もします。
今のところ、カネキの対として描かれている道化師の旧多も本当のところ何を目的にCCGを乗っ取るような行動を取っているのかがよく分かりません。
それに、今までどことなくカネキ側にいたようなドナートやウタを筆頭したピエロも旧多にただ従っているとはとても思えない。
これまでは、人にとって敵である「喰種」とそれを駆逐するCCG捜査官の戦いで描かれる善悪のあり方や、その間に立つカネキの葛藤などが大きな見どころだったと思うんですが、それが今はそれぞれの思惑がハッキリしてなさすぎてよく分からないなぁという印象がなきにしもあらず。
東京喰種を物語的に分けると
『東京喰種』が悲劇で、『東京喰種:re』は悲喜劇という感じの様相を呈していますが、仮に『東京喰種:re』を2つに分けるなら1巻から8巻が「隻眼の王誕生編」として前編に、9巻がキャラクター整理、10巻以降が「人と喰種の共存編」という感じになるんでしょうか。
未だに登場しないイトリや、CCGの闇が暴かれ始めてから一向に姿を見せない地行博士、そしてヒデ!
きっとこの人物たちが出てきて物語はまた動き出すのでしょう。
やっぱり気になる次巻!
最後まで読み通したいと思います。
では~
11巻の感想はこちら!
