「そろそろ旅に行く頃合いだな…」
普段、当たり前のように言っていました。
ってそんな風にかっこつけて言ってませんが、
「そろそろ旅行に行く頃合いだな…」
とは口が裂けても言いたくありません!だってかっこ悪いんだもん…
「いや、待てよそもそも『旅』と『旅行』ってどう違うんだ?」
「そもそも旅ってなんなんだ?」
そんなことが気になってしまったので、軽くリサーチした報告を備忘録的に。
「旅」だったのか、「旅行」だったのか?
ども!「~とは何か?」とつい哲学にふけってしまうとしちる(@ture_tiru)です!
先日、旅?旅行?に行ってきたベトナム。
これまで僕は「旅」と言ったり、「旅行」と言ったり二つの言葉をごっちゃにして使っていました。
こちらの記事でも、二つ混ぜて使ってたりします。

けれど、冒頭で書いたように同じ漢字を使えど微妙にニュアンスは違いますよね。
今回のベトナムは「半分旅、半分旅行」、そして前回のタイのバンコクからチェンマイ、スコータイの古都巡りは「どちらかと言えば旅」だったように思います1)タイ最高峰の山に登ること以外、特に目的を決めずに思いつきで行ってきました。そこで国立公園の中でとある民族の集落が観光地として利用されている(利用してもいる)現場を見て、書いた記事がこちらです。。
「旅」や「旅行」など、それぞれの辞書的な意味づけ
「観光」と「冒険」もひとまず含めて、辞書ではそれぞれなんといっているのでしょう?
『旅』
住む土地を離れて、一時他の土地に行くこと。旅行。古くは必ずしも遠い土地に行くことに限らず、住居を離れることをすべて「たび」と言った。『旅行』
徒歩または交通機関によって、おもに観光・慰安などの目的で、他の地方に行くこと。たびをすること。たび。『観光』
他の土地を視察すること。また、その風光などを見物すること。観風。『冒険』
危険をおかすこと。成功のたしかでないことをあえてすること。引用: 広辞苑第6版
「観光」と「冒険」は分かりやすい
「観光」と「冒険」は分かりやすいような気がします。
「観光」とは旅先で建物だったり、街の雰囲気を見物することですよね!
「冒険」は、生命がおびやかされるなどのなどの重大な危険が旅に伴う時に使われています。
「旅」と「旅行」の違いは難しい-環境で意味が異なる?
ですが、一方で「旅」と「旅行」というのはどっちがどっちだと区別するのは難しいようです。先ほどあげた広辞苑の意味でも「旅」にも「旅行」の説明の中にもお互いにお互いのことばがそのまんま入っています。
同じ漢字を使っていますしね。
これに関しては面白い記事を見つけました。
このふたつの言葉の意味の違いはあるのか、それはどこからくるのか。
(中略)
旅は訓読、旅行は漢読。
「旅」は大和言葉、「旅行」は中国の漢語。
当たり前と言えば当たり前ですが、そこから見えてくるものがありました。
日本人は、中国人はそれぞれどんな想いを込めたのか。
結果と過程。
言葉の違いは“人間の環境に対する捉え方”の違いと聞いて納得したことがあります。引用: 旅と旅行の違い。 – Jun’s Life journey!!
さらに、日本と中国における環境の捉え方の違いを端的に指摘しています。
日本の言葉である「旅」は過程である道程を重視します。
独自の温暖な気候、豊かな自然に囲まれた日本人は自然との調和を好む。
小さな島国で、進むごとに景色や季節の流れ方が変わってゆくことがまた、日本人の好きな「うつろいかわる」ものを奥深いと感じる感覚にあっていました。(中略)
一方、広大な土地をおさめる中国の言葉「旅行」は目的地を重視します。
行き先での明確な目的を持ち、旅をはじめますが日本ほど過程を楽しむ余裕はありません。
なぜなら広大な中国で自然は目的を阻む障害であり、征服の対象でした。
果てしなく続く原っぱや砂漠など厳しい環境条件が中国人の感性に対してそのように影響しました。引用: 旅と旅行の違い。 – Jun’s Life journey!!
なるほどなーと思う一方で本当にそうなのだろうか?とも思ってしまいました。語源というものは、意外と怪しいというか不確かなものが多いからです。言葉は移ろいゆくものですしね。
「旅」と「旅行」の決定的な違いは「挑戦」したか否か?
そもそも辞書的な定義というものは概して不確かなものが多いです。
では、辞書的な意味から離れて「旅」と「旅行」の違いを考えるとどうなるのでしょうか?
そこでまたまた面白い記事を見つけました!
よく「旅行は目的を決めていくものだし、旅は目的を決めないでいくもの」という定義を見かけたりするが、それはちょっと違うと思う。
(中略
旅行という概念は恐らく様々な要素によって構成されている。そして、それぞれの要素には得点が割り振られていて、それが一定の閾値を越えれば「旅行」と呼ぶことができる。旅行を構成する要素は思いつくだけでも、「距離」「乗り物」「人数」「服装」「本場感」と多数存在する。
(中略)
旅行を「旅」にする要素は1つしかないと思う。それは「何かに挑んでいるかどういか」ということ。上に挙げたような様々な要素は全く関係なく、何かに挑むことを旅と言うのではないかと思う。ただ、最低限、移動を伴う必要はありそうだ。
(中略)
まとめてみると、旅行は旅行要素を加点して閾値に到達すれば旅行と呼べるし、旅は何かに挑んでいれば旅と呼べるという私なりの定義になる。いかがだろうか?
引用: かわいい子には「旅」をさせなければいけない!旅行と旅の違いとは? – Abstract Life
なるほど。
冒頭で「旅」と「旅行」を目的のあるなしではないのではないか?と問題を提起しながら、何かしらの要素を付け足していくと「旅行」と呼べるが、そのような要素とは関係なしに「挑戦」さえしていれば「旅」と言える、と。
確かに、『ジョジョの奇妙な冒険 第三部』でもジョースター一行は宿敵「ディオ」を倒すために日本からエジプトへの「旅」をしているのでしたッ!それはまさしく「挑戦」の何物でもないでしょうッ!
僕にとっての旅-旅をするなら一人がいい
僕は旅をするなら一人がいいなといつも思います。
実は「旅ってなんだんだ?」と思うようになったのは「旅をするなら一人よりみんなと行くのがいい」という意見に違和感を持ったからなんです。
「一人ではあまり行きたくない」という意見を聞いたのですが、調べながら、僕とその人らでは「旅」と「旅行」という点で認識が違うのではないか?と思うようになりました。
つまり、僕は「旅をしたい」と話している一方で、その人らは「旅行がいい」と言っているということです。
どちらが良い悪いではなく、単純に好みの問題でもありますが、ようやく納得がいきました。
納得は何よりも優先されるッ!じゃないと俺は前に進めねぇーッ!
引用: 『ジョジョの奇妙な冒険 第7部 – Steel Ball Run』第8巻
まとめ-ことばは生き物!
もっといろいろなことが言えそうですが、納得できて満足です(笑)
今回、サクッと調べてみておおよそこんな感じでそれぞれ4つの言葉は使われているのかなと思いイメージ図を作ってみました。
「旅」「旅行」「観光」「冒険」の違いイメージ図
実際の会話では、それぞれの言葉、「旅」と「旅行」、「旅行」と「観光」、「旅」と「冒険」の意味は重複して使われていますよね。
「言葉は生き物」ですから、それぞれの文化や環境、価値観なんかを表していますし、また時代ごと、もっと言えば人によって異なります。
もし、こういった言葉の違いを面白いと思うのなら、言語人類学や社会言語学がおすすめで、意味の違いなんかは伝統的な言語学(生成文法)や比較的新しく出てきた認知言語学なんかも面白いです!
もし興味があればこれらの新書がおすすめ!
なるべく専門用語を使わないで全般的な言語学を学問としてではなく、高校の授業のような科目として概説してくれてます。
古い本ですが、ことばと文化の関係を論じた本として有名です!ちょっと固めかな?
[追記] 2017年に出版された『観光客の哲学』という本も、「観光客」という存在を政治哲学的にまじめにふまじめに突き詰めた著作でとてもおすすめです。いきなり読むと難しいですが、著者の東さんの語りは一般向けに比較的分かりやすく書いてくれているので哲学書の中では読みやすいですよ!下記の記事で概要を簡単に紹介しています。

余談-名前も重要だよね!
ひとまず、今回の調査はこれにて!
そういえば、旅先で出会った僕の同期の彼女(ベトナム人)に「一人で旅をする方が好きなんだー」という話をしたら、
「将来、トリさんの旅は1人じゃなくて、2人で一緒に行きますように!\(^o^)/」
って言われたんでした…
く、くッ…!
とりあえず、僕は「とし」です…!
で、では~
注釈
⇧1 | タイ最高峰の山に登ること以外、特に目的を決めずに思いつきで行ってきました。そこで国立公園の中でとある民族の集落が観光地として利用されている(利用してもいる)現場を見て、書いた記事がこちらです。 |
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[…] まずはこちらのサイトから言葉の意味を引用してみた↓ […]