SNS時代に個人サイトをゆっくり続ける

 4, 5年前、SNSを見るのが辛くなった時期がある。情報はあちこちにばら撒かれているが、なにかそれが有機的につながっているように思えない。社会の情勢も一向によくなる気配を感じない。加えて、精力的にWebメディアの活動を広げるなかで、人間に疲れてしまう出来事が重なるに重なったこともぼくの閉塞感を高めることを加速させた。詳細は割愛するが、3.11の震災以降の地域を起点としたムーブメントがネットで一種の村社会へと回帰する様を間近に見たこともぼくにとって閉塞感が強まったことと関係している。そういった行き詰まり感のなか、無数に散らばる情報を見ることがあまりできなくなっていった。

 もう少しちゃんとした理由としては、大学院に入学し、研究の方向性が定まり、思考も内容も洗練されていた時期であったことも大きい。研究に集中するためにSNS断ちをした。ここ最近は復活してきたのだけど、それでもやっぱりこの感覚はあまり抜けきらない。特段の理由がなければSNSを復活させることはない気がする。

 だが、不思議とサイトを運営する気持ちはあまり消えていない。いまは研究が少し落ち着いたこともあってむしろやる気が戻ってきている。

 SNSはアカウントを個々人が持ち、タイムラインを自由に編集する個人メディアの色彩が強い。一方、個人で運営するブログやサイトは情報・知識を雑誌のように編集できる点に特徴がある。加えて、ネット上にはいまでも有志の人々がお役立ち情報を記事化してくれている。もちろん、SNSではアテンションが、WebメディアではSEOが人々の関心を惹きつける技術として用いられているものの。ただ、ものを作るという作業に関してはぼくはWebメディアのほうがカスタマイズ性に優れてて好きなのだろう。

 このサイトでも、Discourse Studiesという特設ページを用意している。基本的に、言語人類学記号論、あるいはディスコース研究に関するキーワードや研究雑録をまとめているページとして作ったものだ。このサイトは、WordPressというCMSを使って運営しており、有料テーマの「SANGO」をベースにしている。SANGOを見てもらえるとわかるが、このサイトはそこそこカスタマイズを施している。

 現在のサイトデザインはわりとシンプルで気に入っている。ただ、肝心の記事はあまり書いていないのでじっくり書き進める予定。実は、2019年にひつじ書房から出版された『言語人類学への招待──ディスコースから文化を読む』の姉妹本のような、『ディスコース研究の技法(仮)』なる本があと1年くらいで出版される予定だ。これに合わせて、補足・加筆記事を書き進めようかと思っている。

 そう思いながら、今日は久しぶりにキーワードプランナーやラッコキーワードを開いて「自己責任」や「コミュニケーション」の検索ワードを調べていた。意外に穴場でなにかできそうな気がしている。

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