Share Studyのサイトを仮リニューアルした

 2016年9月から2020年にかけてぼくが開設・運営していた学術系メディア「Share Study」をリニューアルした。リニューアルしたといっても、CMSとして活用していたWordPressのエディターのアップデートに伴い、サイトのテンプレートテーマを変更、公開していた過去記事を一部に限定するなど整理し、トップページを簡単に整えた。

 サイトのトップページ上部には下記の文言を挿入した。もし仮にShare Studyのようなサイト運営を再開するなら、新しく別サイトとして作り直すと思う。その趣旨を記載した。

 2016年9月、入門学術メディアとして立ち上げたのが『Share Study』です。Share Studyでは、「人から見える学問の見える化」を目標に立ち上げたWebメディアでした。学問に親しむ機会の少なかった高校生や大学生、さらには知的好奇心旺盛な社会人の方々などに向けた記事を公開し、学生・研究者・社会人の方々に参画してもらってきました。2020年まで、ベータ版として試験的に運営してきました。
 主な運営者が大学院に在学し、研究活動に集中するなど、諸事情のもと2020年からは活動を停止中。今後、サイトを更新する場合、新規メディアとして立ち上げる予定です。ここで活動した内容を残すべくサイトをリニューアルしました。そのため、現在はサイト上に一部の記事以外は掲載しておりません。

 Share Studyに対する思い入れは強い。大学の学部生時代、ぼくが悶々と問題意識を感じたことを具体的に実現しようとしたのがShare Studyだ。簡単に言うと、ぼくが所属していた筑波大学では「学際性」をうたっているものの、実際に異なる分野や人が学際的な議論をしているわけではまったくなかった。また、2015年に起きた文系学部廃止論争の衝撃と影響もあり、「人から学問を見える化」するべく立ち上げたのがShare Studyであった。

 ただ、学部生のマンパワーにはさまざまな意味で限界があった。またこのようなメディアを運営するからには、自分が真摯に学問に打ち込まないといけないと考えてきた。そこで、大学院に進学し、修士論文を書き上げたタイミングで(半ば燃え尽き症候群に陥り・・・)Share Studyの活動を停止するにいたった。

 Share Studyの活動は、ほぼほぼ自分が運営に時間と労力を割いていたものの、有志の学生スタッフにもかなりの手伝いをしてもらった。当時、シェアスタッフと呼んでいたみんなには大変感謝している。結局、うまい運営の改善なり将来的な方向性が見出せずに中途半端になってしまったことを申し訳なく思っている。また、スタッフだけではなく、数多くの学生・先生・社会人の方々にもインタビューや記事執筆などに協力していただいた。こうした活動をするなか、金銭的なお返しができず、心苦しく思い、なんとかそれを改善すべく、得意のWebサイト制作をお金に還元しようと修士時代には休学もして個人事業主になった。だが、これも(ぼくからすればさまざまな裏切りにあい)あまりうまくはまわらなかった。

 当時から、結局、研究と仕事の両立をし続けることが難しく悩み続けてきた。最近は、やっとこさ博論にも決着がつきそうになったところだったが(雑記「博士論文の最終原稿を提出した」240428)、今度は仕事が白紙状態に戻ってしまった(雑記「失敗、心機一転、習慣」240504)。こうした経緯もあり、長らく放置してしまっていたShare Studyを再び整備したというわけだ。

 整理しながら我ながらわりとがんばってさまざまなコンテンツを作ってきたことを思い出した。ただ、もう少し特定のコンテンツに集中してじっくりと取り組めばよかったのかもしれない。欲張りな性格がせっかくいいことをしているのに邪魔している感じだ。

主なカテゴリー。
ラジオ番組のStudy Talkなるものも9つほど公開していた。
12月に実施するアドベントカレンダー。25日のクリスマスまでに25記事を募集して公開していた(意外に大変・・・)。

 正直、いまならこのようなサイトは作らない。Share Studyで意識していたのは、ただコンテンツを情報として提供するのではなく、人の存在を浮き上がらせた上で生きた知恵を交叉させること、ときに磨くこと、ときに変わるような「驚き」の経験を提示することにあった。思うに、それこそが学問の特徴であると思っていたのだ。それがShare Studyのキーコンセプトである「人からはじまる学問の見える化」だった。

 ところで、サイト運営は農作に似ている。環境と土地を見定め、土を耕し、種を蒔き、肥料と水を補給して、ときに雑草を刈り取る。サイトでも、ドメインを取得し、サーバーを借り、サイト全体をデザインし、記事を作成して、ウィルスからサイトを守り、ユーザーに届ける。こうした農作とサイト育成のプロセスは似通っている。サボれば、すぐに土地もサイトも荒れ果ててしまう。

 最近は、VRなど言われもするが、そう簡単に二次元上の画面インターフェースも変わらないのだと思う。特に、文字を読むという体験は変わらないだろう。ただ、どんなにコンテンツを育てようとも、それを楽しむ人々がいなくてはサイトは持続しない。その工夫をどうすればいいか。あらためてじっくり考えなくてはならない。

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