最近、やっぱりどうしても倫理とか道徳ってそもそもなんなんだ?ってことが気になってしょうがない!
というわけで人間ではなく猫にその答えを聞いてみよう!
炎上なんて上等?
ホントね。こやつもはや相当頭の切れる策士なのか、それともただの想像力が欠如してしまったおバカさんなのか分からないんだけど、「水素水」というネタで炎上を3度やってのけた人がいましたね。
内容そのものよりも、やたら枕詞で「文系だから」とか「馬鹿だから」という言葉を使って免罪符にしていることの方が気になって気になって。
批判的談話分析を専門に勉強していこうというものとしては免罪符をテーマに調べたら面白そうだなんて思ってしまいました。
炎上狙いもマーケティング的にはいい?
でもね、そんなことを考えながら突き詰めてみると炎上マーケティングは道徳的に問題なのか?ってことも気になるんです。
例えば、マーケティング的に言えば3度も連続で炎上を成し遂げればそこそこ広告できたことになりますよね?
「一つのはてブは等しく一つのはてブ」なわけで数が集まればはてなブックマークの上位にランクインしていきますし、その他のサイトにも取り上げられていく可能性が高くなると。
称賛であれ非難であれそれは変わらないわけですよね。
炎上した結果、サイトのSEO的な価値は上昇します。
そういった意味では成功しているとも言えますが、じゃあ道徳的に見てどうなんだ?って話が僕は気になります。
道徳は突き詰めれば反道徳が真なる「道徳」になる?
ちょうど今、この本を読み進めているのですが超面白いです!
ある意味、非常に危険な本でもあるのですがその理由は道徳そのものを否定する趣旨の内容だからです。
と言ってもそれを語るのはこの表紙に描かれる「アイジンヒト」という猫です。
この本はM先生の倫理学講義とその講義に関連した話をアイジンヒト、祐樹君、千絵さんの3人が話し合い進められていきます。
M先生は一般的な倫理学説をまとめていってくれるのですが、他の登場人物は基本的にその講義内容に反論していきます。
特にアイジンヒトが第2の先生という立ち位置で二人の疑問に答えていくのですが、いわばもう一人の著者が彼(「俺」という呼称を使っているので便宜的に彼とします。猫ですがw)なようです。つまり、M先生であり著者の永井さんですね。
世に言われているような道徳ではなく最後には反道徳を説き、これまでの代表的な哲学者ですらバッサバッサと切り倒していきます。
簡単に言ってしまうと「道徳なんてものはない」と。
切り倒していく武器-根源的利己主義
そうしたある意味究極の「非道徳的とされているものであろうと何をしてもいい」という概念を社会学者の大澤真幸さんは根源的利己主義と文庫本の解説にて述べています。
これは一種のニヒリズム(虚無主義)ですよね…
そのため、アイジンヒトはニーチェだけが唯一この問題に真摯に向き合ったとして評価しているそうです。
(まだそこまで読んでいない)
大澤さんはこの本は最新(2011年)の倫理学説をくみ取った上で説明してくれる優れた倫理学の入門書でありながら、不道徳を説く希有な本であると紹介しています。
この本が面白いのは徹底的に倫理的な問いを哲学的命題として問いつめ、その問の精錬と探究の結果に得られる真なる「道徳」とはいわゆる「反道徳」だったと言いのけてしまうことです。
ただ単に「道徳なんて知るか」なんてヤンキーが言っているのとはレベルが違う次元の話でして、すっごく面白い!
その重要な問に関して、「はじめに」で著者はこう言います。
この本はまた、ある問いに対して一つの答えを押しつけるようなことがないようにくふうされている。複数の答えの可能性を提示し、その中から読者の方々が自分で考えていけるように配慮したつもりである。だが、答えは押しつけなかったが、問いは押しつけざるをえなかった。
文庫本の発行は2011年ですが、元は新刊本として2003年に発行されたものだそうです。
読むのに頭使うので今やっと3分の1くらいです。笑
けど、問いが深くて面白い!
ちなみに炎上マーケティングは長期的に見てどうなんだって突っ込みもあるかと思いますが、そのことについてもこの本では突っ込まれているので気になる方は是非読んでみて頂ければなーと思います。
では~!
※ ちなみに例の炎上はこの記事の分析を見る限りはやはり確信犯の可能性が高そうです。