前回の「ただただ読むことのすすめ」で、テキストの海に潜り、モヤモヤした問いの種を掴むことこそ、「読む力」であり、「生み出す力(読む、書く、つくる、引き受ける)」だと語りました。
今回はその続き「書く」について。いろいろ読み進めているうちに、「なんかすごいこと思いついた気がする!」と興奮冷めやらぬまま誰かに話そうとしたら、あれ、うまくことばにならないぞ……なんてこと、あるあるですよね。 そう、頭の中にあるうちは、思考ってびっくりするほど解像度が低いんです。その曖昧なモヤモヤに輪郭を与え、思考のピントを合わせる方法、それが「書く」です。
ピント合わせは「書く」に全振りする
読むことで得た直感や抽象的なアイデアは、書くプロセスを経てはじめて「自分や他者と共有可能な『問い』」へと磨かれます。最初の段階は、頭の中でフワフワ浮いていることばを、キーボードを叩いて物理的なテキストとして画面にガシガシと投げつけましょう。この「外に出す」行為は、まさにカメラのレンズのピントをジリジリと合わせていくような作業です。
最初からうまい文章なんて書けなくて当たり前。とにかく今ある思考を削り出し、(ここがめちゃくちゃ大事なんですが)自分より明らかに文章が上手い人に添削してもらいましょう。そうすることで、何がわからず、どうことばにならず、どんな知識や思考が足りないのか。自ずと見えてきます。
それも書かなければ、それを誰かに見せなければ始まりません。とにかく書きましょう。そして見せましょう。
知識の不足と文章の澱みを見つける
いざ書き始めてみると、間違いなく壁にぶち当たります。「あれ、ここのロジック繋がらないな」「なんかこの段落、文章が澱んでるな」と。そう思えるなら、大チャンスのサインです。自分で違和感に気づけなければ、添削してもらっても大した学びになりません。
文章の澱みは、イコール「知識の不足」や「思考の浅さ」の証拠なんですよね。それをキャッチできたのなら十分。ぼくも自分で本当にまだまだだなと思います。そこまで文章がうまいタイプではありませんが、それでも「読める」文章に編集する技術はかなり時間をかけて磨いてきました。
だからこそ、言えます。文章にしようとすることで、自分が「分かったつもりになっていた箇所」が丸裸にされるんです。
じゃあどうするか? 答えはシンプル。また「読む」に戻りましょう。足りない知識を補うために、もっとよりよい文章に出会うために。もう一度テキストの海へ潜るんです。読むと書くは完全に地続きです。書いてつまづいたら読み、読んで閃いたら書く。この無限ループを回していくことでしか、文章も考えも知識も磨かれません。
他者からリズムを堂々と盗む
書く上でめちゃくちゃおすすめするのが「他者のリズムを盗む」ことです。ゼロからオリジナルの文体を生み出そうなんて気負う必要はありません(だいたい誰かのなにかのコピー)。本を読んでいるとき、「うわ、この人の文章めちゃくちゃ心地いいな」「この論の展開、痺れる!」と思うことってありますよね。その「リズム」を貪欲にパクりましょう(もちろん中身のコピペはNGですが、骨格やテンポは別です!)。
他者の優れたリズムを自分の中にインストールし、そこに自分の問いを乗せてみる。それを繰り返すうちに、気づけば「自分の文体」が立ち上がってくるはずです。
とにかく書くべし
「読む」が果てしない助走だとしたら、「書く」は何度も跳躍して空中のフォームを修正していくような泥臭い作業です。完成形なんて気にせず、未熟な思考を晒すことを恐れず、とにかく書く。ことばにすることで気づきや違和感を繋ぎ止め、確かな輪郭を与えていく瞬間はわりと快感です。さあ、とにもかくにも書きましょう! ピントを合わせていきましょう。エディタを開いて、今のその混沌を書き殴ってみましょう!