ども。青山俊之です。
ロフトワークのマーケティング部に入社して、一年と少しが経ちました。会社ではマーケティングとイベントや記事の企画をしながら、個人では研究と批評を続けています。
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ぼくがこの働き方を選んだのには理由があります。ひと言でいえば、公共性です。
大学の人が語る公共性には、あまり説得力がないと思っています。そもそも学問(の自由)の論理と、世間の論理はめちゃくちゃ隔たりがありますし(ポジティブにも、ネガティヴにも)、なにより大学が世間から断絶していると思われているからです。
研究者にとって、世界そのものは「学ばせてくれる」ありがたい存在です。少し、自分本位に言い換えるなら、世界は考える材料をくれる存在です。
こう書くと無粋ですが、ぼくが取り組んでいるマーケティングの仕事も少し似たところがあります。マーケティングは「売る仕掛け/仕組み」をつくる仕事であって、「売り物」そのものではなく、それを材料にする仕事だからです。
ところで、マーケティングの真髄は、必然性をつくることだと考えています。相手が「いま、これが必要だ」と思える理由を、その人の置かれた文脈のなかから見つけて差し出していくからです。
だとすれば、大学と世間のあいだの断絶も、材料をどう差し出すかの問題として編み直せるかもしれない。ぼくが会社に入ったのは、大学にいるよりも、研究者のまま自分の手でつくって動かせる可能性が高いと考えたからです。
さっきのマーケティングの考え方は、ぼくが取り組む研究や批評でも近いスタンスを持っています。なぜこの問いを、なぜいま、なぜこの本で考えるのか。その必然性を示せなければ、どんなに優れた議論も知ってもらえません。
この一年、その必然性のつくり方を会社と個人の両方で試してきました。うまくいったことも、いかなかったこともあります。この記事では、その記録を残しつつ、次の一手について書いてみます。
この1年間の活動表
| 時期 | ロフトワーク | 個人活動 |
|---|---|---|
| 2025年8月 | マーケティング部に入社 | |
| 2025年9月 | 出版助成金の申請を出しそびれる | |
| 2025年11月 | ムーンショットパーク(大阪・関西万博)レポート | ノリでYouTubeを始める |
| 2026年1月 | イベント:大学の未来 #4 | YouTubeチャンネル「ゆる責ゼミ」をまじめにやり出す |
| 2026年2月 | イベント:ひらくの設計図 #2「研究は、なぜ『届かない』のか?」 | ある出来事で、これからを考え直す |
| 2026年3月 | 大学の未来 #4 レポート | (おやすみ) |
| 2026年4月 | ロフトワークのAI実践録 | ↓ |
| 2026年5月 | イベント:夜ふかし大学 第一夜 | ↓ |
| 2026年6月 | 気候適応ビジネスのセミナーレポート | noteとMETAP構想を始める |
| 2026年7月 | 第一夜レポート | メタップ読書会を始める/ある出来事でスイッチを切る |
| 2026年8月 | 大学変革 #1 明星学苑 理事長/イベント:夜ふかし大学オンライン特別編/イベント:夜ふかし大学 第二夜 | (おやすみ) |
| 2026年9月 | 博論本、出版助成金の申請をついに出す | |
| 2026年10月 | イベント:ひらくの設計図 #5「なぜ『語り』だけでは、人は動かないのか?」/イベント:CAM-PASS PLATFORM キックオフ(裏方) | メタップ読書会シーズン1を終え、METAP構想ページを開設 |
1月、ノリで始めたYouTubeをまじめにやり出しました。しかしながら、2月には、衆議院選挙の結果を見て、自己責任研究で追いかけてきた対立の構図が崩れたことを割と真剣に考えていました。博論本の宣伝のつもりで始めたYouTubeで、何をどう語ればいいのか、しばらく迷い、しばし休止していた時期に当たります。
その後に立ち上げたのがロフトワークでの夜ふかし大学です。立ち上げた理由は本当にいろいろあります。そのなかで個人的な思いとしてあったのは、今年1月の衆議院選挙の結果を見ると、政治的な対立軸が見えにくくなった時代に、それでも人が集まり、自分たちで問いを立てる、半ば社会運動のような場をつくりたい、ということでした。まだまだ道半ばですが。
夜ふかし大学は、会社の取り組みとして続けています。そして、その根っこにある同じ問いを、個人の側で、もっと長い時間軸で考える場所として6月に始めたのが「METAP」です。
「新しい出会い」を探しています──METAP構想について
次の一手に向けて、いま新しい出会いを探しています。中心にあるのは、「自治観測所 特務機関『METAP』」という構想です。
この名前は冗談のように見えると思いますが、構想そのものは着実に進めています。2026年は「問いをひらく」、2027年は「問いを広げる(まちとメディアへ)」、2028年は「観客を集める(継続して集える場)」。その先に「自治を問い続ける」というビジョンを置いています。
いまはフェーズ1です。オンライン読書会「メタップ」のシーズン1を走り切り、10月にはMETAPの構想ページを開設しました。11月28日からはシーズン2が始まります。

特に考えたいのが、大学の可能性をどう広げるかです。18歳人口が急減する「2035年の崖」を前に、大学業界の人にとっては切実な問題です。同時に、批評的にも無視できない問題だと思っています。大学は、日本社会が知や教養、権威とどう付き合ってきたかが、濃く映し出される場所だからです。
テーマは「自治」
METAPのテーマは「自治」です。ぼくは、教養と自治を次のように考えています。
- 教養:世間を対象化し、その内側から変えていく力
- 自治:自己外部化を、制度的・文化的に維持する能力
「自己外部化」というのは聞き慣れないことばだと思います。自分たちがつくった決まりや慣習を、自分たちがつくったものとして、見える場所に出し続けることです。記録に残す、ことばにして語る、観客の前にひらく。そうして外に出すことを、仕組みと文化の両方で保ち続ける力を、ぼくは自治と呼んでいます。
教養は一人ひとりの力で、自治はそれを自分たちで回していく能力です。自治が固まって動かなくなったとき、それを内側から編み直すのに教養が要る。読書会がMETAPの入口にあるのは、そのためです。
こんな人と話してみたい
METAPの構想を現実に落とし込むには、とてもぼく一人の力だけでは足りません。混迷の時代でも、きちんとお金を稼ぎながら、「自治」を問いかける実践と語りの場づくりを続けていく仲間をいま探しています。特にこんな人と話してみたいと思っています。
1. 学問と社会のあいだで揺れている人
院生、ポスドク、若手研究者、在野で何かを続けている人。アカデミアに残るか出るか、その二択に疲れている人もいると思います。ぼく自身、博士を取ってから会社に入り、研究を手放さないまま働いています。そのリアルを話せますし、METAPの「観測員」として一緒に問いを立てる仲間を探しています。
2. 組織のなかで浮いている変革者
大学の職員や教員、企業で企画・人事・広報・編集をしている人。正しいことを言っても通らない、新しいことをやろうとするほど孤立する。そんな経験がある人ほど、きっと話が合います。職場の空気や世間をことばにするところから、一緒に考えられたらうれしいです。
3. 人文や批評が好きなのに、語る場を失った社会人の方
本は買うけれど、読み切れないし、一緒に考える相手もいない人。メタップ読書会は、未読でも読みかけでも参加できます。まずはYouTubeのコメント欄に、ふらっと来てください。
おわりに
研究者・批評家として世界を考える材料にしながら、マーケティングとしてその世界に介入する。この一年は、ロフトワークを介してその二つのあいだを行ったり来たりする時間でした。次の一年は、その往復に、もっと多くの人を巻き込んでいきたいと思っています。
11月28日(土)20時からは、メタップ読書会シーズン2の初回として、今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』を読みます。
こんな感じでYouTubeのライブ配信も月一で定期的にします。気になった方、どうぞ気軽に声をかけてください。先ほどの「話してみたい人」に少しでも当てはまった方、ぜひ一緒になにかしましょう。ではでは!

